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FEATURE

Interview vol.02

ファッションエディター白澤貴子さんが考える
女性としての生き方とファッションの楽しみ方

August 24 2018

自分らしくファッションを楽しむためにできること、そして考え方。 フランスでの暮らしや、長年ファッションに携わる中で培われた想いを交え、女性として輝くためのヒントをファッションエディターの白澤貴子さんに伺いました。

白澤貴子/Takako Shirasawa ファッションエディター
19歳からファッション雑誌の制作に携わり、多くの媒体で編集から撮影ディレクション、ライティングまで担当。現在は雑誌やウェブ、広告のディレクション、また人気ブランドのブランディングなども精力的に行う。パリ在住時に培われた感度の良さや独自のセンスは、多くの女性や企業から注目され、ファッションだけにとどまらない領域で活躍。小学校に通う息子を持つ母親でもある。
instagram@takakoshirasawa

Q:女性がファッションを楽しむためにできることはなんでしょうか? ファッションの世界と関わっていると、日本人の女性は本当に真面目に毎年の流行をキャッチしているなと感じます。私が言うのも少しおかしな話かもしれませんが、自分の服をファッション、つまり流行に合わせようとするのではなく、一度周りの意見に左右されすぎず、自分自身が素直に好きだと思えるスタイルを知ることが大切なのかなって思うんです。それがあって、初めてそこに自分の気分に合う流行があれば味付けしていく。そうすれば、もっともっと自分を表現できて楽しめるんじゃないかなって。だから私自身、最近はマニュアルを作るより、自分が自分でいられるための服をみんながそれぞれ納得して選ぶことができるような仕事ができたら、と思うようになりました。
それから、今ってカジュアル上手が多い一方で、ドレスアップ上手がとても少ないように感じるんです。もっと素敵にドレスアップができる人が増えたらいいなと常に考えていて。カジュアルやラクな服だけしか着ないでいると、姿勢や歩き方がだらけがちになってしまう。ドレスを着るような特別な時間を作るだけで、背筋も伸びるし、女性としての気分も上がると思うんです。

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ご自身でプロデュースされたヘレナドレス。クラシカルなヘアスタイルと、真っ赤なリップがとても似合う。「いつか欲しいと思ってもシーズンもので終わってしまうのではなく、いつでも自分のタイミングや体型に合わせられるって嬉しいですよね。」

Q:女性を意識することは、ファッションにおいて大切ですか? はい、とても!せっかく女性に生まれたなら、それを楽しまなきゃ!っていつも思っています。特にファッションは女性としての喜びをたくさん味わえるツール。ヒールの高さ、スカートにするのかパンツにするのか、どこを露出させてポイントにするかなど、選択肢の少ない男性と比べるととても楽しみが広い。それを楽しまないのはもったいないことだなって。おしゃれをしてどこかへ出かけると、それだけで女性はハッピーになることができる。女性みんなに必要な大切な時間です。どんなに忙しくても、何歳になっても、おしゃれをすることを存分に楽しんでこそ、女性は輝けると信じています。

Q:白澤さんご自身は、ファッションをどのように楽しまれていますか? どこへ行っても気恥ずかしくならないような服を着るようにしています。休日などは、リラックスした格好もしますが、基本的に‘どカジュアル’な装いはしません。私は突然「このレストランに入りたい」とか「あそこに行ってみたい」と思いついたらすぐに行動したい性格なので、「この格好じゃちょっとな…」って気が引けて諦めるのはとても残念なので…。
また、私はTPOをコスプレ感覚で楽しんでいるような気がします。例えば、学校行事の際に普段とは少し違うかっちりとしたネイビーのセットアップを着ると、「今、母モードです!」と切り替わるんです。TPOというとなんだか堅苦しく感じて服選びに迷ってしまいがちですが、気持ちの持ちかた次第でぐっと変わる。どんな時も自分自身を楽しみたいですね。
ドレスもそう。例えば、年末のちょっとしたホームパーティーや内輪のクリスマスパーティー、少しいつもよりスペシャルな日。私なんて…と中途半端にカジュアルで誤魔化さない。思い切りおしゃれをした方が場も華やいでホスト側も周りも、そして自分自身も何倍も楽しいから、そこはちゃんとドレスアップして楽しもう!って、いつも考えています。

Q:フランスでの生活経験がある白澤さん。そこで得たものや習慣など白澤さんの生活に今でも根づいているものはありますか? 色々とありますが、ものの選びは確実に変わりました。実はフランス人って、日本で思われているようなファッションに溢れた街とは少し違うんです。「流行なんか、全然関係ないよ」っていう感じで生活している人がほとんどですが、こだわりは皆強く持っています。例えば、「それ素敵だね!」と持ち物を褒めると、「これはね…」ってそのアイテムについて30分ぐらい話してくれる。それがとてもそっけないマグカップだったしても、「この持ち手のこのカーブがとっても好きなの」など、自分がどんな状況でどんな風にしてそれを選部ことになったのか、その背景にどんなストーリーが隠されているのかを熱く語ることができるんです。すべて身の回りのものに対して選んだ理由が存在する。そういうフランス人を見て、ブランドものだからとか、皆がいいと言うからだとか、そういった理由ではなく、「自分がこれを選んだストーリーごと幸せ」と感じたいと考えるようになりました。大事にしておきたいストーリーがあるから、捨てられないし、年月を経てもずっと愛せる。それは一見質素に見えて、とても豊かな生活。そういう考えは、母と同じだなと思い出し、フランスでのこういった経験が元で、母に対する敬意も深まりました。

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「パーティにはクラッチバッグを持っていたのですが、意外とエレガントにクラッチを持つのは難しくて。最近はこういった紐付きを愛用しています。どちらも日本のヴィンテージショップで求めました。小さくて何も入らないのですが(笑)、クラシカルなドレスにも映えるので気に入っています」。

Q:フランスで生活しようと思ったきっかけを教えてください。 当時24歳で、ファッション系の広告代理店で働いていました。とても仕事が楽しくて、ここなら10年後ももっともっと仕事にのめりこめるって思いました。でも、その楽しさゆえに、仕事ばかりで他に今やりたいことってなかったかな?と思ったんです。私は学生時代からなんとなく海外で生活したいと思っていたのに、何度もタイミングを逃してしまった。このまま結婚して、その相手が日本に住む人であれば、私は一生海外に住むことはなく、いつか後悔して周りの人や環境のせいにしてしまうかもしれない、そう思いました。
そして、いつ結婚したいと思うか分からない今、早くいかなければ! と一大決心したんです。ただ、フランスどころかヨーロッパにも行ったことがなかったんですけれどね(笑)。でも知らない場所に、自分を置いてみて1人の力で生きていけるのかを試したかったので、それならその時に一番嫌いな国だったフランスに思い切っていってしまおうと。
実際に行ってみると、それはそれは孤独で。全く言葉も通じない中、差別もあったりして毎日泣いていました。でも、不思議なのですが「あれ、私ここで生まれのかな」と、時々懐かしい気持ちになったのも事実。歴史が根強く残っている国だからということもあるかもしれませんが、祖母と母の生活様式に共通点を見出すことができたことが大きかったと思います。自然と洋式のルールが自分の身についていたことも、少なからず感じることが多かったです。
そんなわけで、よく「フランス好きな白澤さん」と言われるのですが、好きという憧れや尊敬の感情よりは、身内感覚の「故郷」といった方がしっくりくるようになっています。

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「ショートヘアにしてから、大きなイヤリングを買うようになりました。昔から年齢を重ねた人が大きなイヤリングをしているエレガントな姿に憧れていて。きっと60代になってもしているだろうな、と最近コレクションし始めました。一期一会を楽しみながら、購入しています」。

Q:コレクションされているヴィンテージドレス。コレクションのきっかけと、魅力について教えてください。 ヴィンテージドレスを集めるようになったのは、結婚してから。主人がワンピースを着る女性が好きで、付き合い始めてから月に一回主人が私にワンピースを買ってくれるようになりました。“月一ワンピ”と呼んで楽しんでいたのですが、結婚後、回を重ねるごとに飽きてきてしまって。そうしたら、主人にヴィンテージショップでワンピースを見てみない?と誘われたんです。最初は袖を通してみても、実際自分に似合っているのかどうかが分からなかったのですが、「似合う!似合う!」と主人が言ってくれるから、だんだん似合う気がしてきちゃって(笑)。着ていると、今売られているものとは一味違うデザインに老若男女いろいろな方が褒めてくださったり、時には道でおばあさんに声をかけられたりして…。人と被らないことや、ストーリーが隠されていること、世界にひとつしかないこと、そういうところに魅了されてどんどんハマってしまって。今では150枚ぐらいコレクションしています。
時々、試着するとまるでシンデレラのガラスの靴のように、ピタッとサイズがはまる時があるんですが、何十年も前に私と全く同じ体型で、同じ好みの人がいたんだなと思うだけで、とっても妄想が広がるところもヴィンテージドレスの素敵なところ。そういうドラマティックなところも、気に入っている理由です。

Q:本日の衣装でもあるヘレナドレスを製作、販売されています。製作のきっかけを教えてください。 友人の結婚式に呼ばれて、久々の披露宴の出席だったので、何を着て行こうかな? というところから始まりました。当時、髪をショートにしたばかりだったのですが、以前よりクラシックが似合うようになった気がしていたので、‘正統派クラシカル’を纏ってみたいと、オーダーメイドの服を作っていて、縫製が素晴らしいと日頃から感じていた友人に相談したことがきっかけ。例えば、脇の高さなど微調整を2人で幾度も重ねて、数ヶ月かけてやっと完成したのが、このヘレナドレスです。結婚式の後、その姿をインスタグラムにアップしたら、驚くほどの反響がありました。予想以上に「欲しい!」という声をいただいたので、セミオーダーという形で、みなさんにおすそ分けの気持ちで販売してもらうことにしたんです。私自身、フルオーダーでドレスを作るのは初めてだったんですが、本当に良い経験でした。自分にぴったりのドレスを作ってもらうことは、サイズを測るところから全ての家庭でとても特別なことに感じるし、できあがってくるワクワクドキドキ感もあり、そして、もしかしたら受け継ぐこともできるかもしれない。このドレスからストーリーが始まるってとても素敵だなと思っています。

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白澤さんが自分のために作ったヘレナドレスは、セミオーダーとして販売もされている。真剣に携わって完成したドレスは、女性を輝かせてくれる魔法のよう。背中が大きく開いた大胆なデザインも女性を美しく見せてくれる理由のひとつ。

Q:ヘレナドレスを含めて、ドレスを日常的に楽しんでいる白澤さん。どういう風にドレススタイルを楽しんでほしいと思いますか? ドレスを着ていく場所がない、と言う人が多いけれど、それは違うと私は思います。ドレスを着ることで、ドレスが素敵な場所へ連れて行ってくれるという考え方で楽しめばいいと思うんです。だって、ドレスを着たら自然と「素敵なところへ出かけよう」って考えになるはず。レストランでもいいし、友達とドレスアップして家で集まろう、でもいい。そう考えると、「行く場所がない」ということは全くないんです。
ドレスを日常的に着て、まわりにどう思われるかを気にしてほしくないとも思います。まわりにどう思われるか、ではなくて、自分の気分が上がるか。そして女性としてわくわくするかを優先して、着るものを選んでほしいです。自分の中で選ぶ基準を決めて、好きなものだけを着ていれば、それはその人に絶対に似合う。自分に似合って、気分が上がる服を着ていたら、場所も人も、常にいい出会いがあるものです。そのスタイルが好きだと思ってくれる人が集まってくるし、いいことしかない。まわりの人やトレンド、常識に流されることなくドレスを楽しみたい時に存分に楽しんでください!

Q:最後に、「今」を大切にしている白澤さんが、今やりたいこと、そして将来の夢を教えてください。 夢は今いっぱいあるのですが、どれから現実にしていくかを常に考えています。子どもがまだ小さいころ、「将来の夢は?」と子どもに聞かれて即座に答えられず「ずっと今のままでいられること!」って答えたんです。家庭も仕事も充実しているし決して嘘ではないのですが、なんとなく環境のせいにして自分を進化させようという努力を怠っているようで、その後とっても恥ずかしくなりました。そこから、結婚や出産で忘れかけていた、「とにかく何かに挑戦し続けたい」という自分本来の気持ちが戻ってきたんです。
新しいことに挑戦すると、今までになかった自分を発見できます。「自分はもうこんな年齢だし」という諦めを持つことは、死に等しいとすら考えるようになりました。「もう遅いかな」などというのは、自分に対する言い訳にしか過ぎない。そんな考えは悲しいことだから…。常に自分を更新し続けて今の自分が想像だにしていなかった一年後を迎えていたい、と考えながら生きています。
ただ同時に、変わらない自分もきちんと持ち続けたい。「自分はこうだから!」と決めつけて頑固に変わらないのも違うし、逆に変化だけを求めるのも違う。 変化する自分と、変わらない自分の両方を、常にいいバランスで保てるのが理想です。それが今目指す場所であり、それが叶えばきっと自分も周りも心が一層輝くから、もっともっといいバランスを探りたい。模索しながらではありますが、どんなステージにいても、夢を叶えることも女性であることも意識して生きたいなと思います。